不動のための修理依頼でした。修理を受け付けるお店が無くネットで検索の上ご来店お持込でした。
分解・修理の様子 Disassembly/repair
STEP1
不動状態での修理依頼
STEP2
裏ふたを分解、中を検査
裏ふたスケルトンタイプをシーマスター専用オープナーにてオープン!テンプがガッツリと動きません。ムーブをケースに入れた状態で自動巻きユニットをはずし、ネジだとか部品の脱落によるつかえかどうかの確認をします。
STEP3
爪石の状態を検査
アンクル中央の送り爪石がわずかに飛び出していて送り状態になりませんでした。衝撃により爪石がずれたようです。爪石の調整が必要です。原理と調整方法が理解できない技術者は触らないほうがいいですよ。(他店ではメーカー修理のみ受け付けてます。)
STEP4
爪石飛び出しの原因を確認
爪石飛び出しの原因は衝撃によるものかどうかはわかりませんが、時計ケースの外部の傷などから判断すると強い衝撃が原因かも知れませんね。精密な機械式腕時計は優しく優しく取り扱ってください。
STEP5
テンプ押さえを分解
テンプ押さえを反時計回りの方向へ回し寄せてはずします。止まっているコーアクシャルの脱進機部分の目視精密点検をしましたところ・・・・
STEP6
オメガの機構の分析
オメガ独自の脱進機として1999年に開発生産されました。以来オメガの新基準になろう?としています。私見ではありますが、あえてこのような構造を開発しなくても、現在の完成度の高いムーブを部品の加工精度を上げればより正確な時計になると思いますがいかがでしょうか。
STEP7
アンクルの動作状態を確認
アンクルの動作状態を確認したところ、中央の爪石がわずかに出すぎているため次の動作に移ることができません。 このためテンプががっちりと止まってしまう現象のようです。爪石の調整が必要です。
STEP8
コーアクシャルの仕組み
コーアクシャルの詳しい機能についてはオメガのサイトをご覧下さい。このシステムを調節するには、高度な技術的専門知識と時計製造の技に関する豊富な経験と知識が必要です。仕組みが理解できなければ調節はできません。どんな時計に対しても同じことが言えますね。
STEP9
中央の爪石を押し込む
中央の爪石を少し押し込みました。シェラックが緩む程度の熱を加えながら押し込みました。再度組み込み動作を確認したところ、最適な深さになっており動作も正常になり、テンプの動きも活発になりました。振り角も適正になりました。何度も言うようですが、原理と調整方法が理解できない技術者は触らないほうがいいですよ。(他店ではメーカー修理のみの受け付けです。)
STEP10
ケースを研磨
多数の傷がついて輝きが失われています。ケースをピカピカに磨き上げます。
STEP11
歯車を検査
文字盤側の歯車には異常は見受けられず。正常な動作をしていました。
STEP12
アンクルのアカギを調整
アンクルの上下のアガキを少し狭くしました。アガキが大きすぎても振り座に着いている爪石にかかる力が不安定になってしまいます。従来の脱進機ではあまり調整の必要はありませんが、コーアクシャル脱進機は微妙なところに神経を使います。
STEP13
テンプの動作確認
テンプが気持ちよく振って入るのがわかります。
STEP14
修理完了
ケースをきれいに磨き、購入時により近づきました。洗浄後組み立てたムーブをはめて修理完了!お渡し後、正確に動いているそうです。よかったですね。
参考修理料金 2009/01/31現在
分解調整基本料金(外国製・Cランク・機械式) | ¥28,000 |
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合計金額 | ¥28,000(税込み) |
本来は特殊機械式になりますが、コーアクシャル部分の部品交換が必要な場合はメーカー修理の取次ぎになります。(部品調達不可のため)