エルメスの自動巻き、パワーリザーブ表示付き、24時間表示、時々止まりの不調でお持込み。オーバーホール点検の依頼。不動の原因は分解しなければわからない状況
分解・修理の様子 Disassembly/repair
STEP1
オーバーホール点検の依頼
STEP2
針や文字盤を検査
ケースからムーブを取り出し、針や文字盤のずれが無いかを検査します。秒針の押し込みが不足していてガラスの内側に接触しているようです。ガラスの内面にすれた痕跡が見受けられました。画像では判別できませんので割愛させていただきます。
STEP3
パワーリザーブ表示機構と24時間針の送りの検査
文字盤をはずしたところです。パワーリザーブ表示機構の検査と24時間針の送りの検査をします。
STEP4
パワーリザーブ表示機能
パワーリザーブ表示機能とは、ゼンマイの巻き上げ量とかゼンマイの力の残存量を表示する機構です。香箱の芯についているカナ(歯車)から伝わって48時間から72時間などゼンマイ巻上げ量を表示しています。
STEP5
異常の確認
この部分には異常は見受けられませんでした。良好のようですが不動の原因はこの時点ではまだわかりません。
STEP6
24時間針の送り状況の確認
24時間針の送り状況を見ます。この部分にも異常は見受けられませんでした。不動の原因はまだわかりません。
STEP7
早送りの動作不良の確認
ケース側面のプッシュボタンでデュアルタイム(時差の表示もできます)表示も可能になっています。早送りの動作不良は見受けられませんでした。まだ不動原因は不明状態です。
STEP8
押さえの検査
動作不良は見受けられませんでした。押さえなどをはずして確認しました。ばねの圧力なども強すぎても弱過ぎてもいけません。適正な圧力かどうか確認します。
STEP9
歯車やレバーを検査
カレンダー早送りの歯車やレバーの具合を見ます。香箱芯のカナと二番車のカナと上画像の歯車の噛み合わせにも異常は見受けられませんでした。
STEP10
自動巻き部分の点検
いよいよ自動巻き部分の点検です。あまり磨耗もなく、油が乾燥(減って)している程度かな?自動巻き部をはずしてすべて分解して行きます。ギアトレインはまだ見ることはできません。
STEP11
ローター(自動巻巻上げの分銅)の取り外し
不動の原因調べはまだ続きます。ローター(自動巻巻上げの分銅)を取り外します。切り替え車や伝え車は一緒にはずします。
STEP12
油切れの状態の確認
油切れの状態です。でも不動の原因はここではありません。
STEP13
ゼンマイの巻き上げ状態を開放
ゼンマイの巻き上げ状態を開放して、ゼンマイからの力を緩めます。写真のように非常に多くの歯車で構成されています。各歯車の噛み合わせや点検も10倍のルーペにて検査をします。洗浄前に出来る限り見落としをしないようにします。まだ不動の原因はわかりません。
STEP14
テンプの取り外し
テンプをそーっと、はずします。人間では心臓の部分です、細心の注意が必要です。ヒゲゼンマイを変形させてはなりません。
STEP15
アンクルを外す
アンクルをはずしツメの様子も異常なし。
STEP16
アガキの調整
四番歯車のアガキが異常に多く不調の原因はこのためのようです。秒針の押さえが不足していたのは針を押さ込むときにこの歯車をも押し込んで穴石もずらしてしまったようです。穴石の高さの調整でアガキを適正にしました。それと秒針の穴を少し大きくして深く軽く、押し込めるようにしてこの歯車芯や穴石に負荷が掛からないようにしておきました。
STEP17
最後の点検
二番車のカナの状態です。異常は見受けられませんでした。上の項目で不良箇所が見つかり修正もしましたが、最後まで点検は怠ってはいけません。
STEP18
作業完了
香箱(昔お香を入れる箱に似ているから香箱と呼ばれたようです)芯のカナの部分です。異常は見受けられませんでした。全ての部品を洗浄組み立て。異常なく動くようになりました。
参考修理料金 2008/09/01現在
分解調整基本料金(外国製・クラスC・機械式特殊)
革ベルト付きのため基本料金の90% |
¥40,000 |
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合計金額 | ¥36,000(税込み) |