TAG・ホイヤー 自動巻きクロノグラフ|分解具体例

分解・修理の様子 Disassembly/repair

STEP1

不動の修理依頼

不動にての修理依頼でした。記念の時計でもあり愛着があるから何とか安く直して欲しいとの依頼。リュウズは磨耗の上ねじ込み不良、ケースパイプは交換必至。クロノグラフ作動不良。クロノグラフボタン内部のパッキン交換必至。外装レジスタリングの回転不良などなど外観からだけでも相当な傷みようです。

STEP2

内部の状態の確認

ふたを開けて内部の状態を見ます。なんてことでしょう!クロノグラフのレバーが折れているのか?外れているのか?この機種では初めて見る光景です。とりあえず機械をケースから取り出します。

STEP3

変色蓄光塗料で再塗装

文字盤のインデックスの夜光塗料が黒く変色。長短針の夜光塗料も黒くカビが生えたように変色蓄光塗料で再塗装します。針や文字盤を交換するよりはお値打ちだと思います。色々な不良箇所が目に付きました。まず外観を目視することが基本になります。店頭修理受付時にはお客様にも確認していただき、どこまで手を加えるか相談しながら見積もりを立てます。

STEP4

針や文字盤を分解

針や文字盤をはずしました。カレンダー送りや歯車の異常は見受けられません。

STEP5

すべての部品の点検

日付板、押さえ板、クロノグラフの時間歯車、レバーなどなど。すべての部品の点検です。この時点までは異常なし。いよいよ自動巻き部分の点検です。ベアリングが磨耗して大きな音を出します。ローターががたつき、ローター下の部品に当たって削ってしまっています。

STEP6

ローターの確認

ローターの先は重い金属でできているため、他の部品に当たるとその部品を傷めてしまいます。自動巻の時計で内部で異音がするようでしたら速やかに修理に出してください。そのままお使いになると色々な部品が痛み、修理料金も多くかかってしまいます。

STEP7

ベアリングの交換

ローターのベアリングは交換しました。レバーばねは外れていたのですが・・・次の画像のように

STEP8

ピンを別作

ローターの角で削られてしまい外れてしまったようです。支えのピンの頭が無くなっています。ピンを別作して入れなおします。

STEP9

ピンの打ち抜き

ポンス台(画像の水平度垂直度の高い精密工具の1つ)を使って削られたピンを打ち抜きます。昔は部品代金が高いため、技能士ならよくこうして色々な箇所を直したものです。

STEP10

段つきのピンを製作

穴より少し(わずかですが)太目の段つきのピンを作ります。水平の台に板を乗せ、上から垂直に打ち込みます。もちろんレバーの厚みまでですが。

STEP11

洗浄前の検査終了

うまく出来上がりました。しっかりと引掛り、レバーを固定できます。洗浄前にはこうした作業をすべて行っておきます。

STEP12

一つ一つの歯車を検査

すべての自動巻き部品が分解され、一つ一つの歯車を検査します。あまり他の部品は痛んでいないようです。クロノグラフ時計の内部は、いかに部品が多いか、お解かりいただけると思います。多数のレバーやばねで構成されています。

STEP13

輪列(ギアトレイン)の点検

ゼンマイの巻上げを緩め、輪列(ギアトレイン)を点検します。写真のように非常に多くの歯車で構成されています。各歯車の噛み合わせや点検も10倍20倍のルーペにて検査をします。洗浄前に出来る限り見落としをしないようにします。

STEP14

動力開放

手動でゼンマイを巻き上げる歯車を点検後、ゼンマイの力を解放します。動力開放!

STEP15

テンプを分解

テンプをはずします。ローターがここに当たらなくてよかったですね。これが時計の心臓です。はずす時も心なしか、どきどきしますよ。

STEP16

アンクルの検査

アンクルです。左右の石のはずれや傾きなども検査します。

STEP17

作業完了

輪列(ギアトレイン)です。すべてこれらは異常なし。文字盤も針もきれいになり、クロノグラフもうまく作動し、リュウズも新品に換わりねじ込みもできるようになりました。

参考修理料金 2007/09/01現在

分解調整基本料金(外国製・クラスC・機械式特殊) ¥40,000
内装部品代金 レバー修理・ベアリング交換・インデックスや針の夜光塗料再塗装・部品代技術料別料金 ¥5,000
外装部品 リュウズ、チューブ、パッキン一式、レジスタリング修正(技術料を含む) ¥25,000
合計金額 ¥70,000(税込み)
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