ロンジン 自動巻きクロノグラフ650|分解具体例

分解・修理の様子 Disassembly/repair

STEP1

オーバーホール点検

完全不動のため、オーバーホール点検の依頼でした歯車の奥のほうに異常が見られます。不動の原因は分解しなければわからない状況です。

STEP2

ケース側面確認

ケース側面、ガラス淵リングには無数の傷跡酷使されている様子です。

STEP3

裏ふた取り外し

裏側スケルトンの限定商品です。汗と衝撃による痛みやサビが見受けられました。ふたは回転式ではありませんので、裏ふたをコジ開けます。

STEP4

取り付け状態チェック

裏ふたガラス部分には自動巻きローターベアリングから出た金属粉が付着しています。完全に油切れの状態です。ガラスとリングとの取り付け状態チェック。

STEP5

自動巻き部の部品の点検

裏ふたをはずして自動巻きの巻上げ状態を調べます。自動巻き部品の点検。巻き上げ状態は良好のようですが、不動の原因はこの時点ではまだわかりません。

STEP6

長針(分針)・短針(時針)カレンダーの動作点検

長針(分針)・短針(時針)の接触はないか点検後、長針・短針をはずし文字盤を取り外します。カレンダーの動作確認歯車の磨耗などを点検不動の原因はまだわかりません。

STEP7

カレンダー部分や歯車検査

カレンダー部分や歯車のかみ合わせを検査します。この時点では異常はありませんでした。カレンダーの動作不良は見受けられませんでした。不動の原因はカレンダー部ではないようです。まだ不動状態です。

STEP8

構造確認

この機種はクロノグラフ機構部と自動巻き時計部とが二階建て構造です。

STEP9

歯車連結動作確認

分離しましたがまだ不動状態です。左側の大きなクロノグラフ部分の歯車を動かしているのは右の時計の小さな秒車からの動きだけです。ここの連結がうまくいかなければすべて止まってしまいます。

STEP10

不動原因調べ

不動の原因調べはまだ続きます。針回しの部分にも異常無し。あまり磨耗もなく、油が乾燥(減って)している程度かな?

STEP11

ローター取り外し

油切れのローター(自動巻巻上げの分銅)を取り外します。切り替え車や伝え車は一緒にはずします。

STEP12

自動巻き部分の点検

自動巻き部をはずしてすべて分解して行きます。ギアトレインはまだ見ることはできません。

STEP13

歯車、各部品の検査

ゼンマイの巻上一つ一つの歯車を検査します。油切れであっても、あまり部品までは痛んではいませんでした。よかったよかった。

STEP14

各歯車の噛み合わせや点検

ゼンマイの巻き上げ状態を開放してやり、ゼンマイからの力を緩めます。写真のように非常に多くの歯車で構成されています。各歯車の噛み合わせや点検も10倍のルーペにて検査をします。洗浄前に出来る限り見落としをしないようにします。 まだ不動の原因はわかりません。

STEP15

各歯車の噛み合わせや点検

歯車の一つ一つを隈なく検査。まだ不動の原因が解らない。ドコかな?ここかな?あそこかな?

STEP16

歯車汚れチェック

ゼンマイを巻き上げる角穴車上部が異常に汚れていました。不動の原因に近づいてきましたよ。香箱(昔お香を入れる箱に似ているから香箱と呼ばれたようです)のふたが開いていました。このため2番車や4番車にふたが接触して動かなかったようです。

STEP17

部品分解検査

ゼンマイの巻き上げ過ぎとゼンマイの油切れが原因だったようです。すべての部品を分解検査します。香箱のふたを開いたところです一般の方はここまでは、あまり見ることも出来ませんね。洗浄後自動巻きゼンマイ専用の油を注入してふたを圧入しておきます。

STEP18

クロノグラフ部分の分解

時計自動巻き部分の部品の全容です。不動の原因が解り、いよいよクロノグラフ部分の分解です。

STEP19

時計の秒車(4番車)から伝達部分(中央)の分解点検

時計の秒車(4番車)からの伝達部分(中央)です。異常無くても、すべて分解点検をしますメーカー側では分解の必要性はあまり無いとのことですが修理完成後油切れや磨耗で動作不良が出た場合は自分で責任を取らなくてはだめです。後からここも検査しておくべきだったと、後悔しても・・・ですよね。

STEP20

油切れによるレバーの動作不良確認

油切れによるレバーの動作不良は無いか調べます。異常は見受けられませんでしたが分解開始!

STEP21

目視確認

修理の現場をご覧になったお客さまは「色々な大きさのねじや部品がどこに使われるのか?」と??マークばかりの質問です。どの部品がどんな作用をするのか、ねじはどこに使われるかは時計の仕組みを理解していればすぐにわかりますよ。とお答えしています。

STEP22

クロノグラフ機能部確認

この二階建ては、ちょっと二階に無理がかかり過ぎのように思われます。クロノグラフ機能部の開発者は相当苦労したと思われます。これによく似たムーブが他にもあります。

STEP23

動作確認、洗浄組み立て

スタートストップの切り替えを伝えるレバーです。複雑に絡み合って動作します 。洗浄組み立て注油をします。レバーや強く接触する箇所には粘度の高い油を使用します。

STEP24

ケースやブレスレットを洗浄後、お客様へお渡し

磨き上げたケースやブレスレットきれいにしてお客様にお渡しすればお買い上げ時の状態に戻って大切にお取り扱いをされるようです。この時計もお客様から喜びのお言葉と笑顔をいただきました。

参考修理料金 2007/09/01現在

分解調整基本料金(外国製・クラスC・機械式特殊) ¥40,000
合計金額 ¥40,000(税込み)
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