ロンジン クオーツ レディース｜分解具体例

完全不動の状態での、修理の依頼。電池が液漏れを起こし歯車の方まで侵食していました。電池交換だけでは動かないため分解修理にて受け付けました。すべてのの部品をきれいに洗浄。回路も交換は不要のようでした。洗浄後から組み立て作業を紹介します。

電池の液漏れによる動作不良歯車に付いたアルカリ性の強い液を洗い落とし、すべての部品を洗浄しました。組立作業です。地板（ベースになる部分）の上にチリやホコリがないことを確認しますもちろんルーペや拡大鏡を使っての作業です。

部品をつかむ場所も素材や構造で違ってきます。歯先などは変形や傷などをつけてはダメです。レディースの部品はメンズに比べてさらに細かくできています。歯車の歯先などは画像でも見えませんね。慎重に慎重にかつすばやく。

一円玉の上に歯車などを置いてみました。部品の大きさが解っていただけると思います。こんなに小さいものですから空気中のホコリなどが原因で動作不良が出てくることがあります。作業場は空気清浄機を置いて空気中の小さなホコリなどを吸取っています。空気清浄機は役に立ちますね。

所定の場所に収めて行きます。

輪列（ギアトレイン）の組み立てです。

歯車のかみ合わせを確認します。回転良好です。

クオーツの電気回路です。左に赤く見えているのがコイル。中央下のばね状のものが、電池のマイナス側の接触部分です。電流の値や抵抗値を調べます。（分解洗浄後には検査済み）規格内であれば良いのですが、異常の場合は交換が必要になります。

このムーブは非常に調子の良い部品構成だと思います。比較的長期間動作を続けます分解調整はあまり行わなくても結構丈夫なんですよ。ただ止まったまま長期間保管しておきますと電池の液漏れによる不動の状態が発生しますので、定期的な電池交換をお薦めします。

電池を組み込み動作確認します。輪列に注油して行きます。注油箇所によって油のタイプや.量が違ってきます。 クオーツ時計には2種類から3種類油を使います。修理依頼品の中には注油量が多すぎて止まってしまうものが時々見受けられますおまけは不要！何事も適量ですね。針を回す部品やカレンダー部の組み立て作業です。

この時計にはカレンダーはついていませんがダミーの日付板が入れられています。日付付きムーブの量産品のためコストを抑えるためのようです。調子が良いものならここはあまり深く追求しません。文字盤を取り付けます。

長針短針を取り付け、針と針が接触していないか確認します。回路からの信号を受けて動作しているかしばらく針を眺めましょう動きは快調のようです。

綺麗に磨き上げたケース内に収めます。パッキンは新しいものに交換します。

タイムグラファー（1000分の1秒まで測定できます。）で日差（一日の誤差）を確認します。調整の可能な回路なら合わせ込みが出来ます。このタイプは出来ないのが残念でも日差＋0.159秒　一月の誤差＋4.7秒と出ました。これなら上出来ですね。使用条件によりこの測定値より大きくなることがあります。