ゼンマイ式ウェストミンスターチャイムの置き時計。2週間手巻き式、完全不動でオーバーホールの依頼。長期間止まったまま放置してあった時計。お父さんの会社から勤続記念品でいただいた時計をもう一度動くようにして欲しいとのご要望にお答えしました。久しぶりに手がける機種ですが、昔は多数調整したものです。修理画像が整理できました。ご覧下さい。
分解・修理の様子 Disassembly/repair
STEP1
完全不動でオーバーホールの依頼
STEP2
ケースから取り出し
ケースから取り出した文字盤側の時報装置のからくりの様子、 15分ごとにうウェストミンスター寺院の鐘の音を鳴らします。正時にはキンコンカンコンと(学校のチャイムを思い出します。)曲を鳴らした後に時の数だだけチャン、チャンと正時を知らせます。夜間は静かにするため10時からはウェストミンスターは鳴らないようになっています。多数のカムや歯車で複雑な構造になっています。
STEP3
裏側全体の画像
裏側はシンプルなつくりになっており、ウエストミンスターの曲を奏でる時には左側の歯車が回って動きを見ることができます。 中央上部には腕時計などに使用されている(脱進機、調速機)エスケープメントが取り付けられています。着脱はゼンマイの動力開放を忘れないようにしなくてはなりません。(大きな機械と動力に対して非常にデリケートな部分のため)
STEP4
エスケープメント部分の画像
エスケープメント部分です。ガンギ車、アンクル、テンプなどが大きくて、腕時計の仕組みを理解するには見やすく、修理経験の浅い初心者には見やすい参考資料になったものです。この部分のおかげで、クロックでも2週間の誤差を非常に少なくすることができるようになったのです。今では部品は調達できなくなりました。残念!ところどころにはサビも発生し、磨くのに大変苦労しました。
STEP5
ゼンマイの力を解放
コハゼを浮かしてゼンマイの力を解放します。油切れのためズルズルとゼンマイの滑る音が大きなため念入りな洗浄が必要です。ゼンマイは香箱式になっておりゼンマイの内部洗浄には長時間の超音波洗浄が有効的です。何度も手洗いと超音波洗浄の繰り返しできれいにしました。
STEP6
輪列(ギアトレイン)の調子を検査
輪列(ギアトレイン)の調子を検査します。歯車が回転できないほど各所の油が固まっています。固めのハケで手洗いをします。真鍮ブラシを使わなければならないほど固まっていました。
STEP7
油切れの状態をチェック
ホゾ穴からは真ちゅうの地板の磨耗粉がにじみ出て固まりサビに変わっています。完全に油切れの状態で、長期間置状態だったものと思われます。
STEP8
青サビの発生を確認
香箱芯も同じ状態です。青サビが発生していますね。金属製の小型へらと固めのハケで磨きました。
STEP9
注油作業
各ホゾ穴もきれいに掃除棒で磨いて組み立て注油作業に入ります。調子の良い音(チッチッチ)を響かせ快適に動きました。15分ごとの音色と音の長さで(15分、30分、45分)時間が判断できる仕組みも懐かしさを感じます。組み立て完成後、腕時計の振動数と同じためタイムグラファーにかけて調整ができます。
参考修理料金 2009/03/31現在
旧式ゼンマイ式クロック特殊(ウェストミンスターチャイム式)分解調整 | ¥20,000 |
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合計金額 | ¥20,000(税込み) |