アイチ時計1ケ月巻き時計 手巻きゼンマイ式掛け時計|分解具体例

分解・修理の様子 Disassembly/repair

STEP1

汚れの確認

昭和30年代後半のゼンマイ式掛け時計で30日巻きが製造販売最後のころの機種だと思います。不動でオーバーホールの依頼。お爺様が使っていて止まったまましばらく置いてあった時計ですが、お孫さんが使いたいというご要望にお答えしました。外側ケースはタバコの煙やいろいろな汚れが付着しています。

STEP2

ゼンマイの油も確認

不動のまま使用期間は短かったため機械の摩耗はあまり見受けられず、ゼンマイの油が古くて固まった状態のようです。

STEP3

ゼンマイを開放

機械を取り出しパワーリザーブ表示部分を外します。裏側のゼンマイのコハゼバネ(赤丸部分)を外しゼンマイを開放できるようにします。

STEP4

ゼンマイ歯車巻き上げ

ゼンマイを少し開放して開放補助用板を取ります。ゼンマイを緩めるときは戻し器の少しずつ手に持った部分を滑らすように回転させます。分解前には解放されたゼンマイをゼンマイの歯車の大きさより少し大きめに針金などで縛れるように巻き上げます。画像からはわかりにくいのですがゼンマイの汚れがひどいですね。

STEP5

開放補助の板を外す

ゼンマイの力を解放し開放補助の板を外したところです。ゼンマイの力は非常に強いため初めて分解する人はここでけがなどをしますので真似をしないで下さい。分解作業を一度見てからトライしてみてください。

STEP6

ゼンマイを解放

ゼンマイを針金で結び開放状態にしました。さてこれからいよいよ分解に入りますよ。

STEP7

各歯車の摩耗状態検査

完全に油切れの状態です。各歯車の摩耗状態も検査します。

STEP8

超音波洗浄器にかける

洗浄瓶に歯車を入れて超音波洗浄器にかけます。

STEP9

洗浄器にかけている間に地板のほぞ穴(歯車の芯が入る穴)を手洗い

このように完全に分解して各部品の磨耗状態を正常に戻してから組み立て直さないと気持ちよく動くものではありません。洗浄器にかけている間に地板のほぞ穴(歯車の芯が入る穴)を手洗いできれいにします。基本すべての部品は手洗いです。

STEP10

洗い落とし

油が固まっていて、汚れがひどいため手で洗い落とします。

STEP11

洗浄後の洗浄液

洗浄後の洗浄液です。汚れがわかりますか。

STEP12

洗浄部分の確認

洗浄された部品です。きれいになっているのが解っていただけますか?

STEP13

ゼンマイを開く

問題のゼンマイを開く方法を解説します。私は汚れが付きやすい軍手を使って広げます。しっかりと手の中で保持して針金を外します。この作業には握力が必要になります。後ほどこの針金の輪っかは必要ですので残しておきます。

STEP14

少しずつ広げていく

手のひらの中で少しずつ広げていきます。最後まで広げて最終的にはこのような状態になります。3Mくらいの長さがありますの作業場所の広いところが必要です。

STEP15

ゼンマイの汚れ

ゼンマイの汚れが軍手につきます。汚れのひどいことが判ると思います。

STEP16

ゼンマイをクロスを使って汚れを磨く

ゼンマイをクロスを使って汚れを磨き取りピカピカにします。これによりゼンマイどうしの滑りが非常に良くなります。動力の伝達が滑らかになり時計の動きがよくなります。

STEP17

古い油を拭き取る

このように錆や古い油のよごれが取れます。古い油を拭き取ることでゼンマイ同士のすべりがを良くなります。この肯定を省いて修理をすると動きがいまいちです。私は面倒でもこの作業は省くことはいたしません。

STEP18

ゼンマイを針金の中に巻き上げる作業

いよいよゼンマイを先ほど残しておいた針金の中に巻き上げる作業です。ゼンマイの取り付ける歯車を利用して巻き上げていきます。歯車が空回りしないようしっかりと持つためこの作業も握力が必要です。ゼンマイを巻く要領で手のひらの中へ巻き上げていきます。磨き上げたゼンマイが光っていますね。

STEP19

巻き上げの確認

針金の輪っかにはまる大きさまでゼンマイが巻き上がりました。まだ気を緩めてはいけません。ゼンマイと歯車をしっかりと握っています。ゼンマイが光って綺麗でしょう。

STEP20

ゼンマイを緩める

先ほど残しておいた針金の中に納まりゼンマイを緩めます。ゼンマイの取り付ける歯車を利用して巻き上げるため歯車が空回りしないようしっかりと持つことが必要です。この技術さえあれば高価な巻き上げ器などの工具は必要ありません。

STEP21

針金とゼンマイの確認

針金の中に巻き上げられたゼンマイです。磨き上げられたゼンマイが光ってるのがお判りいただけますか。

STEP22

ほぞ穴を磨く

輪列(ギアトレイン)の入るほぞ穴を磨きます。洗浄だけで汚れは落ちませんからこのように掃除棒を使って磨いていきます。摩耗しているほぞ穴があればかしめます。

STEP23

タガネを使って穴を小さく丸く仕上げ

歯車の芯が入る穴(ほぞ穴)が楕円形に減っている場合はタガネを使って穴を小さく丸く仕上げていきます。

STEP24

油の種類

歯車の芯やゼンマイに使用する油の種類です。3種類くらいを使い分けています。

STEP25

ゼンマイの補助板の取り付け

輪列(ギアトレイン)の組み立てゼンマイの補助板の取り付け

STEP26

組み立て完了

ケースをきれいに磨いてから組み立て完了のムーブを取り付けます。この状態で1日動きの様子音のなり具合などを見ます。

参考修理料金 2021/03/01現在

旧式ゼンマイ式クロック分解調整最低基本料金 ¥28,000~
合計金額 ¥28,000~(税込み)
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