定期メンテナンスのオーバーホール。セイコーのガランテ・スプリングドライブ Ca:5R66Aの時計です。自動巻きでクオーツ並みの精度を誇るセイコー独自のムーブメント。「少しでもお値打ちに修理を」とのこと。お受けしました。
分解・修理の様子 Disassembly/repair
STEP1
オーバーホールのメンテナンスの依頼
STEP2
外装部品の作業
外装部品もムーブメントと同じようにすべて分解の上研磨・洗浄作業へ。
STEP3
発見
針をすべて取り外すと、おやおや?
STEP4
原因
針を取り付ける歯車のセンターと文字盤のセンターが同心円状にありませんねえ。定期メンテだけでなく、少し時計も不調だったのではないかと想像します。文字盤のサイズとケース内部のサイズの差が大きいとこのような状態になりやすいです。装着時の衝撃で文字盤だけがずれてしまう大型で重い時計にはよく見受けられる症状です。
STEP5
針回りやカレンダー部の点検
さて文字盤の足を調節(まっすぐに直しておきました。)して針回りのやカレンダー部の点検をしていきましょう。もし支えの足が折れていた場合は溶接修理になります。
STEP6
パワーリザーブ
パワーリザーブの部分です。ゼンマイ巻き上げが(パワー)いっぱいになるとそれ以上パワーリザーブの針が回らなくなるようになっています。
STEP7
針の仕組み
針が付く歯車(左画像)をこの歯がついた2枚のレバー(右画像)で針にあがきからくるブレを抑えるようになっています。この仕組みの詳しい解説は時計の仕組みの中で解説して行こうと思っています。
STEP8
自動巻き部分の検査
日付板や日送り車には異常なし。さていよいよ自動巻き部分の検査です。SEIKO独自のトライマチックの一つ・マジックレバーの自動巻き構造です。
STEP9
伝え車の洗浄
手巻きもできるように伝え車が使われていますがこの部分の汚れがひどいようです。洗浄磨きを行います。
STEP10
輪列(ギアトレイン)の状態
ゼンマイや押さえを外しました。輪列(ギアトレイン)の様子です。コイル部分の丸い歯車が時間調整に大変重要な役目を持っています。
STEP11
回転を制御する仕組み
右上の丸い歯車には小さな磁石がついていて、磁石を回すことで微弱な電流をコイル内部(下)に発生させます。この電流により電気回路から水晶振動子を動かして正確な電気信号を電気回路内部で作ります。この電気信号がこの歯車の回転を制御します。電流の発生と回転の制御を同時に行ってクオーツ並みの正確な精度を保っています。
STEP12
歯車の洗浄
すべての歯車を取り出しきれいに洗浄します。
STEP13
受け石と穴石
左側の画像は回転部分の受け石と穴石とに分解されている状態です。洗浄されてピカピカに光っているのがわかりますか?
STEP14
修理完了
組み立て完成きれいにケースも磨き上げて返却させていただきました。
参考修理料金 2017/09/01現在
分解調整基本料金(機械式特殊Bランク) | ¥37,000 |
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合計金額 | ¥37,000(税込み) |