完全不動の状態での、修理依頼オーバーホール。故障箇所は後日連絡することに。セイコーの自動巻きで有名な56系ロードマティック。自動巻き腕時計の絶頂期の完成度の高い腕時計でした。高振動で安定した精度が出ていました。グランドセイコーでもベースが同じもので10振動(テンビート)の精度が高いものが有名です。
分解・修理の様子 Disassembly/repair
STEP1
オーバーホールの依頼
STEP2
ケースの状態
ケースの状態から大切に取り扱って見えるものと推察。細かなキズはある程度取り除くことができます。ベルトの弓カンが変形しています。引っ掛けたときに変形したそうです。。
STEP3
ピンの修正
ベルトの三つ折れ部分の打ち込みピンが破損。磨き後修正。ピンは新しいステンレス棒を打ち込みます。色々なベルトの修理があります。困ったときは色々な修理例を参照してください。
STEP4
ケースとムーブメントの点検
この時計はワンピースケース仕様でガラス側から機械を取り出します。ガラスをはずし全体の状態を見ます。ケースとムーブメントの装着状態の点検。ムーブメントを取り出します。ガラスとケースとの取り付け状態チェック。ガラスふちのパッキンは交換します。
STEP5
長針・短針・秒針の点検
長針(分針)・短針(時針)・秒針の接触の有無を点検後針をはずします。止まりの第一要因発見!文字盤が11時方向にずれて筒車(短針が付く歯車)の筒の部分に接触しています。この状態ですと抵抗が大きく、止まりや遅れの原因になります。
STEP6
文字盤の修正
文字盤のずれを修正してセンターをあわせます。文字盤を取りはずします。
STEP7
文字盤を固定するピン
矢印の部分が機械と文字盤を固定する電気溶着されたピンです。(文字盤の足といいます)ひどいショックや衝撃を何度も与えているとこの足が金属疲労で折れてしまいます。折れた場合は低温ハンダで溶接することもあります。(製造中止で部品調達ができない場合)どの時計も、わずか直径1mm前後の細いものですから衝撃を与えないようにお使いください。反対側にも同じようについています。この二本の足で重量のある文字盤をムーブとつないでいます。がんばり屋さんでしょう?
STEP8
カレンダーの動作確認
カレンダー部分の動作確認です。
STEP9
板はずし
動作を確認しながら日板、曜板をはずします。
STEP10
ずれの修正
文字盤のずれによりこのパイプ芯が曲がっていたり、ひどい時には折れている場合があります。この時計はわずかな修正で済みました。
STEP11
歯車つきレバー
日付を早送りするための歯車つきレバーです。歯車の部分が樹脂製のためよく割れるものがありました。現在では部品の調達が不可能ですので早送りができないままになります。この時計の場合はまだ使えそうです。
STEP12
自動巻きローターをはずす
自動巻きローター(分銅)をはずします。ベアリングや他の歯車には異常は無いか検査しながらはずします。「ハーイ元気ですか?」
STEP13
ローター裏側を磨く
ローター裏側はサビが発生。汗かお水が入ったのでしょう。さび取りのため磨きをかけます。分解洗浄前に出来る限り見落としをしないようにします。目視目視の連続です。
STEP14
角穴車をはずす
香箱(ゼンマイ)の上の角穴車をはずし、動力を開放して置きます。コハゼばねが減っていたため交換します。(矢印の部分)
STEP15
在庫不足
手持ちの在庫も残り少なくなってきました。同じ箇所の不良の場合はお早めにお持込ください。
STEP16
向きのずれ
アンクルのケン先の向きが普通の時計に比べると40度近くずれています。この時計の特徴です。
STEP17
輪列(ギアトレイン)の検査
輪列(ギアトレイン)の検査です。すべて異常なしでした。
STEP18
歯車の検査
二番車のカナの部分が油切れで磨耗しやすい。すべての歯車の精密検査です。交換全部品は次のとおり・コハゼばね・ガラスふちのパッキン・リュウズのパッキン(新品のリュウズは入手不可能)
STEP19
洗浄組み立て後
洗浄組み立て後の姿です。細かなキズなどは落とすことができました。きれいになって喜ばれました。
STEP20
修理完了
修理完成後の精悍なスタイル。往年の姿に戻りました。ベルトもオリジナルで、非常に珍しい状態でした。
参考修理料金 2017/09/01現在
基本料金(国産自動巻きアンティーク・Dランク) | ¥16,000 |
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ケース仕上げ技術料金 | ¥3,500 |
内装部品代金(技術料を含む) | ¥1,000 |
外装部品代金(技術料を含む) | ¥1,500 |
ベルト修理技術料 | ¥2,500 |
合計金額 | ¥24,500(税込み) |